SWIFT Shared Ledger の正体— 『FX 流動性なき RippleNet』を Besu で書く、40 行の 10 年遅れの結論
SWIFT が 2025-09 の Sibos で発表した Shared Ledger MVP は、核心だけ取り出すと『FX 流動性なき RippleNet』だ——Ripple が 2012 年から 14 年かけて積んだ 3 層スタックのうち、上 2 層(メッセージ・決済)だけを Hyperledger Besu で書き直したもの。40 行(JPM · HSBC · BNY Mellon · Deutsche Bank · UBS · Citi · SocGen · BNP · Standard Chartered…)が Besu を選んだ 6 つの技術選定理由、JPMorgan Onyx / Kinexys の系譜、3 pillars(Messaging / Settlement / Interoperability)戦略、そして『なぜ 4 本目の柱(Liquidity)は構造的に埋められないのか』を、図解 6 点で分解する。2022-2028 ロードマップと、『決済は Besu、流動性は XRPL』という分業の必然性まで。

この記事の論点
2025 年 9 月のフランクフルト・Sibos で、SWIFT はShared Ledger(共有台帳)を正式発表した。 Hyperledger Besu を土台に、40+ の主要銀行が参加し、 2026 年 MVP、2028 年までに本番稼働を目指す——というニュースは、 「SWIFT がブロックチェーンに本気を出した」と報じられた。
しかし、技術の中身を覗くと、違う絵が見える——
Shared Ledger は、FX 流動性なき RippleNetだ。
Ripple が 2012 年から 14 年かけて積み上げた 3 層スタック——メッセージ(RippleNet)· 決済(Ripple Payments)· 流動性(XRPL AMM)—— のうち、上 2 層だけを Besu の道具で書き直したもの。それが Shared Ledger の正体だ。 3 層目(流動性)は、構造的に Besu では再現不能で、 結局 Chainlink CCIP 経由で XRPL 等の外部 DLT を参照する設計になっている。
この記事で深掘りすること——
- ① Shared Ledger の構造 — 5 層埋まり、1 層欠ける金融 OS
- ② なぜ Hyperledger Besu か — Corda / Fabric を退けた理由
- ③ 40 行の顔ぶれと JPMorgan Onyx との親子関係
- ④ 『FX 流動性なき RippleNet』という構造比較
- ⑤ 2022-2028 ロードマップと 2028 年の分業体制
ひと言で先に言っておくと——SWIFT は 10 年遅れで Ripple と同じ結論に到達した。ただし 3 層目(流動性)だけは構造的に埋められず、結局 XRPL 等を呼ぶことになる。
事実ベース — Shared Ledger とは何か
まず、メディアの解釈を排して事実だけ並べる——
- · 正式発表:2025 年 9 月、フランクフルト Sibos 2025 にて
- · 技術基盤:Hyperledger Besu(Ethereum 互換、エンタープライズ permissioned)
- · スマコン言語:Solidity(EVM 互換)
- · 参加銀行:40+ 行(G-SIB 30 行の過半数 + 地域ハブ + 大手カストディアン)
- · 対象資産:tokenized deposit(トークン化預金)· 規制準拠ステーブル · wholesale CBDC
- · 決済方式:PvP atomic(Payment vs Payment、同時決済)
- · 相互運用:Chainlink CCIP(他 DLT へのハブ接続)
- · 運用モード:Permissioned(SWIFT ガバナンス下、参加行が validator)
- · 稼働予定:MVP 2026 年中、本番 2027-2028 年
これが単独の事実。次に、この Shared Ledger が金融 OS スタック全体のどこに位置するかを図で見る——。
SWIFT の 2026 スタック — 5 層が埋まり、1 層が欠けている
SWIFT は金融 OS の 6 層のうち、上 5 層を自前 or パートナーシップで埋めた。 しかし 6 層目「流動性」だけは 構造的に持てず、外部 DLT を参照する設計になっている。
Shared Ledger は Settlement 層のソリューションであり、 Language / Messaging / Interop / UI までを含むスタックの一部に過ぎない。 だからこそ「ブロックチェーンに全部持っていかれる」のではなく、既存 SWIFT と共存する方向で設計されている。
図 A が示すのは、Shared Ledger はSettlement 層のソリューションに過ぎないということ。 上の Messaging(SWIFT Network + GPI)も、その上の Language(ISO 20022)も、 下の Interoperability(Chainlink CCIP)も、全部別レイヤー。 これらを束ねた総合体が「SWIFT のブロックチェーン戦略」だ。
図 A の一番下、「Liquidity」層だけ Gapになっている。 これは SWIFT が忘れたのではない——構造的に持てないのだ。 Permissioned な銀行間台帳には、エキゾチックペアの AMM も、24/7 の bid/ask も、 深いオーダーブックも、技術的には作れても参加者数・規制・時間帯非対称性で 実質的に成り立たない。
だからこそ Pillar III(Chainlink CCIP)が「他 DLT への橋」として 用意されており、この橋こそが結果的に XRPL 流動性への参照パイプ になる。
なぜ Hyperledger Besu か
SWIFT と 40 行は、なぜ R3 Corda や Hyperledger Fabric ではなくBesuを選んだのか。この問いは見かけより重要で、Besu を選んだ瞬間、Shared Ledger の輪郭は 80% 決まった。
なぜ Besu か — 5 つの候補と、SWIFT が選んだ理由
Fabric でも Corda でもなく Hyperledger Besu。 決め手は「既に 40 行が慣れている」—— 特に JPMorgan Onyx / Kinexys が Quorum(Besu 系)で年 $1T+ を 処理してきた実績が、参加銀行にとって「未知ではない」土台を提供した。
- · EVM 互換 — 世界最大の開発者プール
- · Permissioned モード搭載(QBFT)
- · Tessera でプライベート取引可
- · JPMorgan Onyx / Kinexys と親和性
- · Solidity スマコン — 検証済み言語
- · スループットは Corda より低い
- · ガバナンス層が未成熟
- · プライバシー設計が秀逸(必要参加者のみ)
- · HSBC / SocGen 等で採用実績
- · Kotlin / JVM 限定 — 開発者コミュニティ小
- · EVM エコシステムと接続しにくい
- · スマコン標準が独自
- · モジュラー設計・大規模採用実績
- · Channel によるプライバシー分離
- · 金融 wholesale に最適化されていない
- · tokenized asset 標準が未整備
- · Ethereum エコから孤立
- · Onyx の実績基盤
- · Besu と同系
- · Besu が後継として推奨される
- · AMM・DEX・FX 流動性をネイティブ内蔵
- · 3-5 秒決済・年 $40B+ 実決済
- · 公開 permissionless — SWIFT の参加者管理外
- · 銀行が validator を握れない
- · 規制対応が participating bank 依存
Besu を選んだ最大の理由は「銀行が既に慣れていること」。JPMorgan Onyx(Quorum 系 = Besu と互換)が年 $1T 処理してきた実績が、 参加 40 行にとって「新しいリスク」ではなく「既知の延長」になった。 技術的には Corda の方が優れる領域もあるが、採用コストが Besu を選ばせた。
決め手は 6 つ——
- 1. EVM 互換:Ethereum の世界最大の開発者プールと ライブラリ(OpenZeppelin · Hardhat · Foundry)をそのまま使える。 Corda の Kotlin 限定コミュニティとは規模が 2 桁違う。
- 2. Solidity スマコン:10 年の実戦検証を経た言語。 銀行の監査部門・規制当局も「読める」人材が確保できる。
- 3. Permissioned 運用:QBFT 合意 + Tessera プライバシー層で、 銀行の秘匿要件(取引相手秘匿・残高秘匿)に対応。
- 4. JPMorgan Onyx 互換:JPM が 2016 年から育ててきた Quorum(Besu 系)で年 $1T+ を処理中。 この「既知基盤」が 40 行の合意を加速させた(最重要)。
- 5. ConsenSys サポート:エンタープライズ SLA、監査、セキュリティパッチの提供体制。
- 6. CCIP 親和性:Chainlink CCIP は EVM 同士を繋ぐ際に最も成熟している。 Shared Ledger → Ethereum → Polygon → … のブリッジが自然に書ける。
技術的には Corda の方が優れる領域もあった。
しかし、「40 行が既に慣れていること」が勝った。
XRP Ledger が候補にならなかった理由も重要だ——XRPL は permissionless な公開台帳で、 SWIFT のガバナンス枠に入れられない。銀行が validator を握れないため、 「SWIFT の決済インフラ」として制度的に使えない。 ただし次章で見るように、外部参照される流動性層としては XRPL が最適——この「内製できない部分を外部で借りる」設計が Shared Ledger の真の輪郭。
40 行の顔ぶれ — 『主要銀行の総連合』
Sibos 2025 時点で、Shared Ledger には40+ 行が参加表明した。完全リストは段階的に発表されるが、 公開済みの主要行だけでも、G-SIB(Global Systemically Important Banks)30 行の過半数が含まれる。
40+ 行の顔ぶれ — 地域と役割で見る重心
Sibos 2025 時点で40+ 行が Shared Ledger に参加表明。 G-SIB(グローバル・システム上重要な銀行)30 行のうち 主要なほぼ全員が含まれ、残りは地域ハブ・大手カストディアン。「主要銀行の総連合」の様相。
この顔ぶれは「XRPL を敵とみなす銀行同盟」ではなく、XRPL からも Canton からも独立した、SWIFT の公式 DLTを 作るためのコンソーシアム。Goldman のようにCanton にも参加している銀行は多く、 「どの陣営か」ではなく「どの層か」で使い分けている。
注目すべき 3 つのポイント——
- ① JPMorgan と Goldman の「両陣営参加」:両行とも Shared Ledger に入りつつ、Canton Networkにも参加している。 つまり銀行側は「どの陣営か」ではなく「どの用途・どの層か」で 使い分けている。Canton は発行・カストディ・privacy、Shared Ledger は decentralized payment hub、 XRPL は liquidity——という層の分業が既に始まっている。
- ② Santander の歴史的意味:Santander は 2018 年に One Pay FX を立ち上げ、Ripple 技術を使った最初の大手欧州銀行だった。 その Santander が Shared Ledger にも入ることは、 「Ripple か SWIFT か」の二者択一ではなく、両方を使い分けるという 銀行の実務を示している。
- ③ 日本メガ 3 行の参加:Mizuho · MUFG · SMBC の 3 行は、それぞれ独自の DLT 戦略 (Progmat / Japan Open Chain / ステーブルコイン)を持ちつつ Shared Ledger にも入る。これは日本のMUFG・SMBC の CBDC 準備とも関連する重要な動き。
全員が SWIFT の上位カウンターパート銀行で、G-SIB カテゴリまたは地域最大手。 ここには「小さな挑戦者」は一人もいない——既得権益の総連合が、 自分たちのルールで blockchain を取り込もうとしている、というのが正確な読み。
Onyx 系譜 — Shared Ledger は『Onyx の総連合版』
Shared Ledger は「2025 年に突然生まれた」わけではない。 その技術的土台は、JPMorgan Onyx(現 Kinexys)が 2016 年から 10 年かけて育てたもの。時系列を並べると——
Onyx 系譜 — SWIFT Shared Ledger は『Onyx の総連合版』である
Shared Ledger は「突然生まれた」のではなく、JPMorgan Onyx / Kinexys が 10 年かけて作った土台を SWIFT が業界標準として再パッケージしたもの。だから 40 行は 「初めて使う技術」ではなく、すでに慣れている基盤に合意できた。
- 2016 · JPMorganQuorum 公開Ethereum ベースの permissioned fork。銀行向け DLT の先駆け。
- 2020 · JPMorganOnyx by J.P. Morgan 設立ブロックチェーン事業の独立ブランド化。JPM Coin · Liink を統合。
- 2020 · ConsenSysQuorum を買収Quorum の開発が ConsenSys へ。やがて Besu と統合される流れ。
- 2022 · HyperledgerBesu 1.0 安定版エンタープライズ Ethereum クライアントとして位置確立。
- 2023 · JPMorganLiink on Quorum 年 $1T 突破大手行 400+ が接続、tokenized collateral に実績。
- 2024 · JPMorganOnyx → Kinexys へリブランドKinexys Digital Payments / Kinexys Digital Assets に分化。
- 2024-09 · SWIFT + ChainlinkCCIP 統合 PoC 成功既存 SWIFT メッセージで Ethereum 系 DLT を動かせることを実証。
- 2025-09 · SWIFTShared Ledger 正式発表(Sibos 2025)Hyperledger Besu ベース、40+ 行参加、2026 MVP 予定。
- 2026 · SWIFTShared Ledger MVP 稼働tokenized deposit の行間移転・PvP atomic の実運用開始。
SWIFT Shared Ledger は、JPMorgan 単独の Onyx を業界標準化したもの。 JPMorgan は自分の技術を「開放」することでデファクト・スタンダードの座を取り、 SWIFT は「自前でゼロから作る」リスクを回避した。 10 年前に Ripple が描いたビジョンを、 別のプレイヤーが 10 年遅れで Ethereum 系の道具で追いかけている。
この系譜から読めるのは——
- 1. JPMorgan が「標準化を目指す」戦略:Onyx / Kinexys を業界標準(Shared Ledger)に寄贈することで、 自社技術を「デファクト」にする。これは Netscape が Mozilla に コードを寄贈したのと同じパターン。
- 2. SWIFT が「自前で作らない」判断:SWIFT は自分でゼロから DLT を設計せず、既に銀行界に浸透している基盤を公式採用した。 これにより参加銀行の教育コスト・リスクが最小化される。
- 3. Ripple が 10 年先行していた:皮肉なのは、Ripple が 2012 年に XRP Ledger を公開した時点で、 SWIFT/Onyx がようやく 2026 年に作ろうとしているPvP atomic · tokenized value transfer · 24/7 settlementを 既に実装していたこと。14 年の先行のうち、 最後の 2 年で SWIFT が決済層を追いつこうとしている段階。
Onyx / Kinexys は、SWIFT Shared Ledger の『プロトタイプ』だった。
2026 年、それが 40 行の標準版として本番デビューする。
核心 — SWIFT Shared Ledger =『FX 流動性なき RippleNet』
ここが本記事の中心。Shared Ledger の技術・参加銀行・系譜をここまで整理すると、 ある強い対応関係が見えてくる——
SWIFT Shared Ledger は、
RippleNet の 3 層スタックから、流動性層だけを抜いたものと、構造的にほぼ同じだ。
Ripple は 2012 年以降、以下の 3 層を積み上げてきた——
- 1. RippleNet:銀行間メッセージング層(2012-2020)
- 2. Ripple Payments / ODL:XRP を bridge とする決済層(2018-)
- 3. XRPL AMM(XLS-30)· RLUSD · Hidden Road:流動性 · FX 層(2024-)
- + Ripple Treasury(GTreasury):CFO 向け統合 UI 層(2026-)
SWIFT Shared Ledger を層ごとに並べると、驚くほどきれいに対応する——
SWIFT Shared Ledger =「FX 流動性なき RippleNet」
Ripple が 2012 年から 14 年かけて積み上げた 3 層スタックを、 SWIFT は Besu の道具で 4 年で書こうとしている。 ただし積み上げた層のうち、「流動性」だけは構造的に再現不可能—— だから Ripple の Liquidity 層を借りざるを得ない構造になる。
Shared Ledger = FX 流動性なき RippleNet。 Ripple の 3 層スタックのうち上 2 層を Besu で写経し、 3 層目(Liquidity)だけを Chainlink CCIP 経由で XRPL に外部委託する設計。
Fig E が示すのは、Messaging と Settlement までは両者ほぼ同等—— SWIFT は 10 年遅れで Ripple に追いついた。 しかし Liquidity / FX 層だけは SWIFT 側に空白がある。
これは技術の怠慢ではなく、構造的な制約だ——。
- ① 参加者数の壁:40 行では AMM の厚みが出ない(対 XRPL 数百万アドレス)
- ② 24/7 非対称:銀行は 24/7 営業しない。AMM は 24/7 動く。構造ミスマッチ
- ③ 規制の壁:Permissioned 台帳での自動マーケットは各国規制で未定義
- ④ エキゾチックペア:G10 以外(THB/MXN など)は大手行だけでは深さが出ない
この 4 つの壁の詳細は SWIFT の逆襲 × XRPL の静かな勝利 → で深掘りしている。
結果として、Shared Ledger は Chainlink CCIP 経由で外部 DLT を参照するという 設計を採る。CCIP は EVM 互換の chain 同士を自然に繋げるので、 Ethereum / Polygon / Avalanche はもちろん、XRPL や Canton にも橋渡しできる。 この橋は銀行側の「流動性を外部で調達する配管」として機能する。
2022-2028 ロードマップ — 6 年で決済層が書き換わる
ここまでの整理で、Shared Ledger の位置づけは見えた。 あとは時間軸——何がいつ起きるか、を一枚の絵で固定する。
2022 → 2028 — 6 年で金融 OS の決済層が書き換わる
SWIFT の Shared Ledger は「突然の MVP」ではない。Chainlink との 3 年の実験 → ISO 20022 完全移行 → Sibos での正式発表という 3 段階を経て、2026 年 MVP に至る。 そして 2028 年までに「層ごとに勝者が違う」分業体制が制度化する。
- · Swift × Chainlink 共同実験(12 大手行参加)
- · 既存 SWIFT message で Ethereum/Avalanche 上の tokenized asset を動かせることを実証
- · CBDC Sandbox:香港金管局 + BIS と wholesale CBDC 接続実験
- · Chainlink CCIP 本格統合へ
- · Swift が『Shared Ledger』というブランド名を確立
- · UBS / Sygnum がライブパイロットで tokenized 商品決済
- · 2025-11-22 MT 引退 → ISO 20022 完全移行
- · Hyperledger Besu を技術基盤として公式採択
- · 40+ 行が参加表明(JPM · BNY · HSBC · DB · UBS · Citi …)
- · 2026 MVP / 2027-2028 production のロードマップ提示
- · tokenized deposit の行間移転(同一規制下)
- · PvP atomic settlement の限定運用
- · 最初のユースケース:G10 通貨の大口 wholesale 決済
- · Ripple Treasury(GTreasury)も SWIFT 接続を維持したまま稼働
- · Shared Ledger × Chainlink CCIP → 他 DLT への送金
- · ここで初めて XRPL への referral が実務レベルで表面化
- · tokenized 債券・CBDC 連携の本格運用
- · Canton Network / Fnality との相互接続テスト
- · 『決済は Besu、流動性は XRPL、UI は Ripple Treasury』が事実上の標準
- · XRPL-ZK(XLS-15)による confidential MPT が Canton 優位を縮小
- · SWIFT は Language / Messaging / Settlement 大口の覇者
- · XRPL は Liquidity / Settlement 24/7 の覇者
注目は 2027 年——Shared Ledger × CCIP の 相互運用が本格化したとき、皮肉にも「SWIFT が XRPL 流動性を参照する」 フローが実務表面化する。2028 年までに決済(Besu)× 流動性(XRPL)× UI(Ripple Treasury)の 分業が制度として固まる予定。
マイルストーンの中で、特に注目すべきは2027 年—— Shared Ledger × Chainlink CCIP の相互運用が本格化するタイミングだ。 皮肉にも、ここで初めて「SWIFT が XRPL 流動性を実務的に参照するフロー」が 表面化する。これは SWIFT にとって想定外ではなく、設計に折り込まれた依存関係だ。
そして 2028 年までに、金融 OS 全体が層ごとに勝者が違うという分業体制で固まる予定——
- · Language:ISO 20022(公共財、単独の勝者なし)
- · Messaging:SWIFT Network + GPI
- · Settlement(大口):Shared Ledger on Besu
- · Settlement(24/7):XRPL · RLUSD
- · Liquidity:XRPL AMM(XLS-30)· XRP bridge
- · Issuance:Canton / JPM Onyx / Goldman Digital Assets
- · UI / CFO:Ripple Treasury · 各行 TMS
結論 — 10 年遅れの答え合わせ
SWIFT Shared Ledger をひと言で表すなら——
「FX 流動性なき RippleNet」を、
Besu で書いたもの。
Ripple が 2012 年から 14 年かけて作ってきた 3 層スタックのうち、上 2 層(Messaging + Settlement)だけを Hyperledger Besu の道具で書き直し、それを 40 行の「既知基盤」として標準化する—— それが Shared Ledger の本質。
これは SWIFT にとって「敗北」ではない。むしろ戦略的には正しい——
- ✅ Messaging 層:ISO 20022 で既に覇者(2025-11 完全移行)
- ✅ Settlement 層:Shared Ledger で取り戻しに成功(2026 MVP)
- ✅ Interop 層:Chainlink CCIP で他 DLT との接続権を確保
- ⚠️ Liquidity 層:自前で持てないが、CCIP 経由で XRPL 等を参照する設計で「使える」状態
- ✅ UI 層:既存 TMS(Ripple Treasury 含む)にそのまま乗る
SWIFT は自分が絶対に勝てない層(流動性)を認めた上で、他の 4 層で圧倒的地位を固める戦略を選んだ。 これは「blockchain を吸収した」ではなく、「blockchain の中で自分が強い層を選んで陣取った」という方が正確。
そして銀行側(40 行)も、 「SWIFT か Ripple か」の二者択一を選んでいない——両方を使う、層ごとに使い分ける道を選んだ。 Santander が One Pay FX(Ripple)を持ちつつ Shared Ledger に入るのも、 Goldman が Canton にも Shared Ledger にも参加するのも、同じロジック。
金融 OS の勝者は「鉄道を 1 つ選んだ者」ではない。
「共通言語(ISO 20022)を使って、
複数の鉄道を層ごとに束ねた者」だ。
Ripple Treasury がちょうどその「束ね屋」の最初の完成形になりそう—— SWIFT 接続と XRPL 接続を 1 画面で動かせる CFO ダッシュボード。 そしてその裏では、決済は Besu、流動性は XRPL、UI は Ripple Treasuryという 静かな分業が動いている。
流動性層の深掘り: SWIFT の逆襲 × XRPL の静かな勝利 — 決済と流動性を分離すると、2028 年の勝敗が見えてくる →
ISO 20022 と接近の全体像: ISO 20022 × SWIFT × Ripple — 対立ではなく『接近』 →
Ripple Treasury で SWIFT も XRPL も 1 画面: Ripple Treasury — Fortune 500 の CFO ダッシュボードに、XRP と RLUSD が出現した日 →
次の 3 年で答え合わせが起きる——Shared Ledger MVP が 2026 年に動き出し、2027 年に CCIP 経由で XRPL 流動性を呼び始め、 2028 年には「層ごとに勝者が違う」分業が当たり前になる。 10 年前に Ripple が描いたビジョンを、 SWIFT が別の道具で追認する——これが金融 OS 書き換えの実像だ。